前節アーミーFCに勝利を収め、フンセンカップでもベスト8進出を決めたタイガー。前節は最下位コンポンチャムFCをホームに迎え序盤は攻めあぐねる状況が続いたものの、終盤に得点を重ね4-0で勝利した。今回は不動のボランチとしてタイガーの中盤を支えるMFチョイ選手のインタビューとともにボンケットFC戦をプレビューする。

 

 

最下位相手にまさかの展開

終盤に発揮した底力

正直なところ「完勝」とは言えなかっただろう。今季134失点もしているコンポンチャム相手に前半途中まで攻めきれない時間帯が続いた。しかし、ナンド選手の加入後初ゴールやエースティモシー選手のダメ押し弾を含む3得点を終盤に積み重ねたタイガー。優勝戦線に留まった。

加入後初ゴールを決めたナンド選手。ペナルティーエリア付近からのフリーキックは美しい弧を描いてゴールネットを揺らした。

 

―コンポンチャムFCに4-0で勝利しました。試合を振り返って下さい。

「みんな前のめりになっていた。」

前半戦で対戦した際に11得点した相手だけに、強くなりすぎた個々人の得点に対する欲がチームワークを乱してしまったとチョイ選手は振り返った。特に1得点のみに終わった前半の出来については「あまり良かったとは言えないね。」と決して納得のいく内容の試合ではなかったようだ。3得点を加えた後半については「コンポンチャムの勢いが落ちてきたのと、みんなが良い得点意識を持ってプレーできた。」と勝因を分析した。

 

 

今こそ壁を越えるとき

アウェーの地、立ちはだかるは「英雄」擁する強豪

まさに後半戦最初の山場だろう。次節タイガーはアウェーでプノンペンの強豪、ボンケットFCと対戦する。複数回のリーグ優勝経験を持ち、2位ナガワールドや5位プノンペンクラウンと並びリーグ有数のクラブとして知られているボンケットFC。直近2試合の対戦成績はいずれもホームシェムリアップスタジアムで引き分けに終わっている。

直近2試合の成績はどちらも引き分け。苦手なアウェーの地で初勝利を挙げればチームも勢いづくはずだ。

 

現在こそ順位は6位で直近5試合の成績も2勝1分2敗に留まっているボンケットFC。しかし後半戦から日本のJ3リーグ、藤枝MYFCでもプレー経験があるカンボジアの「英雄」と呼ばれるストライカー、チャン・ワタナカが海外から復帰し活躍を見せるなど、強敵であることは間違いない。しかしリーグ初制覇を目指すタイガーにとって、勝利して超えなければならない「壁」だろう。

 

―いよいよボンケットFC戦です。相手の印象を教えて下さい。

「自分に自信が持てない人間は、フィールドでも結果は出せないね。」

このように持論を展開したチョイ選手。今後の優勝争いを占う試合の一つでもある今節だが、「ストレスも恐怖心もない。」と平常心を保っている。タイガーは今季上位チームとのアウェーゲームで勝ち点を挙げてないが、チョイ選手は「今は良いチームワークを発揮できるようにチームとしてトレーニングできているし、たとえ強豪相手でも対等に渡り合えるとみんな考えてるよ。」と話す。大一番に向けてチームのモチベーションも上がってきているようだ。

また、タフな試合になると予想した上で「ボンケットのDFはみんなカンボジア人だから、(ティモシー選手やラモス選手のように)身長やフィジカルがあるストライカーがいることはタイガーにとってアドバンテージ。彼らに積極的にボールを繋げていきたいね。」とボンケット戦でのビジョンを語った。

 

 

タイガーを支える寡黙なボランチ

フル稼働でピッチを駆ける今シーズン

「人とあまり話す方ではないし、自分から冗談を飛ばす方でもない。」と自身が語る通り、寡黙でドライな印象を受けるチョイ選手。人前で笑うこともあまりないが、自分の子どもと一緒にいるときは表情が崩れる父親としての側面も持つ。そんなチョイ選手だが、今シーズンはボランチでは唯一シーズン通してフル稼働で中盤を支えている。

前半戦のチョイ選手のスタッツはカンボジア人選手の中でもトップクラス。フル出場する試合も多い。

 

―今シーズンは個人成績でも高いパフォーマンスを見せています。

「出場停止と怪我がなかったこと、チームを勝たせることができたのが一番大事」

前半戦ではチーム3位となる3ゴールを決め、出場時間に関しては1位の1170分を記録。「ストロングポイントは守備と、ボールを奪って素早く前に繋げるカウンター。あとはミドルシュート。」という言葉の通り、バランサーとしてタイガーを支えている。自身のパフォーマンスについては「まだまだ改善出来るし、チームの若手にも色々教えていきたい。」と、コメントの随所に30歳のベテランとしての責任感を感じる。

同じボランチとしてコンビを組む新加入のナンド選手についても、「一緒にプレーしたのは2試合だけだから、まだまだこれからだね。」と語り、その攻撃センスの高さを認めた上で「ディフェンスで彼をサポートできれば」と意気込んだ。

 

 

ボンケット戦は7月20日(土)ボンケットスタジアムで15:30(日本時間17:30)キックオフです!ネットでのライブ配信(こちらから!)もあります!タイガーの詳しい情報はTwitter,Facebookをチェック!

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