ついに迎えた後半戦最初の大一番、プノンペンの地で臨んだ強豪ボンケットFC戦。タイガーは前半は攻め込まれ先制を許したもの、ゲームの主導権を握った後半に一点を返し1-1のドローに持ち込んだ。今回は抜群のサッカーセンスで観る人を魅了する若手MF、ラ選手のインタビューとともにバティアカデミー戦をプレビューする。
乗り越えた1つの「壁」、それでも
強豪相手に「悔しい」引き分け
リーグ優勝経験を持つ強豪相手に先制されながらも攻勢に転じて1点を取り返し引き分けた。もしかすると、この試合は「健闘した」という表現が当てはまるかもしれない。しかし敗北が許されない厳しい優勝争いに挑んでいるタイガーにとって、今節の結果は「悔しい」引き分けでもあったはずだ。
―後半戦最初の大一番は1-1のドローでした。試合を振り返ってください。
「勝てなかったのは悔しいね。」
先発出場したラ選手はこのように試合を振り返った。前半は相手に押し込まれる展開が続いた点に関しては「ボンケットのストロングポイントはカウンターだったから、警戒しないといけなかった。」とコメント。しかしボンケットが獲得したペナルティエリア付近での直接FKのチャンスを、J3リーグでもプレー経験があるワタナカ選手が決め先制を許した。
苦しい展開から巻き返し追いついたタイガー。ラ選手が口にした悔しさは、チームが成長した証なのかもしれない。
「沢山チャンスは作れた」というラ選手の言葉の通り、後半からタイガーは一転して攻勢に出る。攻め込むが決めきれない展開が続く中迎えた試合終盤、途中出場した杉山選手が放ったシュート性のボールをFWペアヤング選手がヒールキックで押し込み値千金の同点弾を決めた。中々結果が出ないアウェーゲーム、さらに先制されるという展開を盛り返して追いつく。タイガーにとって一つの「壁」を乗り越えたと言っても過言ではないが、ラ選手は勝てなかった悔しさを口にした。
相対するのは「超新星」
将来を担う若い才能たち
次節の対戦相手、バティアカデミーU-18は文字通り18歳以下の若い選手で構成されるチーム。プレーしているのは将来を嘱望され、カンボジアサッカー協会の下でトレーニングを受けている選手たちだ。中でもバティのエースストライカーのチャンティア選手は本田圭佑氏が監督を務めるカンボジア代表でもプレーし、先月行なわれたW杯予選では16歳という若さながら先制ゴールを決めカンボジア代表の歴代最年少得点記録を塗り替えた「超新星」的存在だ。
バティは今シーズからの参戦のため対戦は前半戦の1回のみ。現在は勝ち点3の13位につけている。
―バティアカデミーの印象を教えてください。
「パススキルが高い選手が多いね」
「もちろん若いチームだけれど、質は高いと思うよ。」と語ったラ選手。バティアカデミーの指揮をとるのは行徳浩二氏。日本人指導者の下で磨かれた高い基礎技術を活かしたサッカ-でタイガーに挑んでくるだろう。一方で「弱点はフィジカルかな。競り合いでは優位になるね。」と次節の対戦相手を分析した。
センス溢れるファンタジスタ
タイガーの未来を背負って立つ存在
落ち着きがあるベテラン選手と比べると、インタビューに応じる姿から照れが見え隠れしたラ選手は1996年生まれの23歳。まだ年齢的には若手だが、年代別の代表に選出された経験がある上、前節ボンケット戦では先発出場するなど監督からの信頼も得ている。
ひとたび試合に出れば持ち前のテクニックで攻撃を活性化させるラ選手。ボールタッチ等の質は他の選手と比べても高い。
―若手選手の中でも特にトップチームでレギュラーとして活躍しています。
「経験のある選手たちと比べたら、僕の実力はまだまだ。」
「ショートパス、ワンツープレーが得意なんだ。」と自身も認めるように、高いサッカーセンスとテクニックがラ選手のストロングポイント。「実力はまだまだ」と謙遜しつつも、「でも、僕のテクニックが十分このリーグで通用している自信はあるよ。だからスタメンにも選ばれるんだ。」と自分の長所に絶対的な自信を持っている。そんなラ選手が理想とするのはギャレス・ベイル選手。「いつもYoutubeで動画を見ているよ。」と話すラ選手に理由を尋ねると、「よく中盤で起用されることが多いんだけど、ウインガーとしてプレーすることもあるからね。」と語ってくれた。ベイル選手のスピードや決定力をプレーの参考にしているようだ。
Jリーグに興味あるか聞くと笑いながら首をすくめたラ選手。しかし大きなポテンシャルがあることは間違いない。
―今シーズン、そして将来の目標を教えてください。
「リーグチャンピオンになりたいね。将来の目標は…」
「最低でも4位以内にチームを導きたいね。リーグチャンピオンにもなりたい。」と今シーズンの目標を語ったラ選手。将来の目標については「海外でプレーしてみたいね。タイとか、マレーシアとかかな。」と海外挑戦を目指しているとのこと。とりわけタイは東南アジアサッカーの雄と言える存在。ラ選手はタイリーグの強豪ムアントンユナイテッドの試合をよく観るようで、かつてのエースで現在はコンサドーレ札幌で活躍しているタイの英雄チャナティップ選手のファンであることも明かしてくれた。
数年後、もしかすれば彼もチャナティップ選手のような海外で活躍する選手に―いつの日か、本当にそうなるかもしれない。
バティ戦は7月27日(土)シェムリアップスタジアムで15:30(日本時間17:30)キックオフです!ネットでのライブ配信(こちらから!)もあります!タイガーの詳しい情報はTwitter,Facebookをチェック!
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